
静岡県内の整形外科にて看護師として勤務。その後、ICUや心臓血管外科で新生児医療に携わる。しかし、入退院を繰り返す子どもたちを見て、病院外での様子も自分で看たいと思い、訪問看護師に転身。「寄り添い屋東店」の立ち上げから関わり、小児専門看護師として勤める。ご利用者様だけでなく、ケアをするご家族様にまで寄り添えるような看護を心がけている。

自宅で過ごす喜びを感じてほしい。
僕は、子どもが好き。僕自身、2人の子どもの父親だということもあるけれど、「小児専門」看護師になってからはますます子どもが好きになった気がします。毎日0歳から10代まで、いろいろな年齢のお子さんに会うのですが、僕を見た時の笑顔や、一緒に遊んだり触れ合ったりしたときの楽しそうな表情は、何物にも代えがたいものがあります。
この日も、とあるご利用者様のご自宅へ出向き、入浴介助や栄養についての話し合いを進めました。実は訪問看護って、自宅での介助だけをすればいいというわけではないんです。病院と連携してその子の発達状況を申し送りしたり、在宅ケアの注意点をご家族様に伝えたり。病院と自宅との橋渡しのような役割ですね。ご家族様は、多かれ少なかれ、自宅でのケアに不安を持っておられます。病院と同じ看護が自分にできるのか、やり方は合っているのか…。ご家族様のメンタルケアもしながら、「自宅で過ごせてよかった」と思っていただけるように、日々努めています。


病気と向き合うのは、
お子さんだけじゃない。
僕が最初に受け持ったお子さんのお話をさせてください。その子は、「尿崩症(にょうほうしょう)」という病気を患っていて、細かな食事制限が欠かせませんでした。食事に対しての嫌悪反応があり、スプーンを口に付けただけでもどしてしまうことも…。しかし、栄養士や言語聴覚士と相談して、塩分を調整したメニューを作成したり、地道に続けられる育児の方法を一緒に考えたりしているうちに、やっと食事ができるようになったんです!言葉にすると短いですが、ここまでくるのに一年かかりました。その時は本当にうれしくて…。諦めずに育児を続けたご家族様とお子さんの力に感激しました。病気と向き合っているのは、お子さんだけじゃない。そのお世話をするご家族様もそうなんです。
その子は今ではすっかり大きくなって、保育園にも通えるようになりました。こうした、お子さんの成長を見守っていけるのは、訪問看護ならでは。なによりのやりがいだと思いますね。

「その先の人生」を
考える仕事。
看護の仕事と聞くと「患者様になにかをやってあげる」とか「奉仕の精神」みたいなものを想像するかもしれませんが、そういうことではないんです。僕がするべきなのは、ご家族様が「これなら続けられる」ということを一緒に考えること。いつでもご家族様の味方でいること。心も体も疲れ果てているときに、そっと悩みを聞いてあげられる存在でいることだと思うんです。
一緒に働くスタッフも、きっと同じ気持ちだと思います。1か月に1回はスタッフと一対一で話す機会を設けているのですが、ご家族様のお話をよく聞いてくれているんだなと感じます。ステーション責任者として、そんな彼らの良いところを伸ばしていけるように「細かな気付きを大きくほめる」ことを大事にしていますね。
そして、お子さんとご家族様に対しては「その先の人生」を考え、今後も安心して生活していけるように。今は精一杯そのお手伝いができたらいいなと思っています。